椰子の実 島崎藤村/大中寅二

名も知らぬ 遠き島より

流れ寄る 椰子の実一つ

故郷の 岸を離れて
汝はそも 波に幾月
 
旧の樹は 生いや茂れる
枝はなお 影をやなせる
われもまた 渚を枕
ひとり身の 浮寝の旅ぞ
 
実をとりて 胸にあつれば
新たなり 流離の憂い
海の日の 沈むを見れば
たぎり落つ 異郷の涙
 
思いやる 八重の汐々
いずれの日にか 国に帰らん

昭和11年(1936年)12月、東海林太郎の歌でポリドールよりレコード発売。
1898年(明治31年)夏。東京帝国大学2年だった柳田國男が愛知県の伊良湖岬 (いらごみさき)に滞在した際、海岸に流れ着いた椰子の実を見つけた。
「風の強かった翌朝は黒潮に乗って幾年月の旅の果て、椰子の実が一つ、岬の流れから日本民族の故郷は南洋諸島だと確信した。」

柳田國男「海上の道」

本日休演

(作曲は著作権保護期間)

更新日:2013年3月10日